EMIRI どんなに素敵な昨日でも
「小峠先輩、私もそんな顔してません?」
「え、全然」
「彼氏と別れちゃったんですよ」
「ああ、先週そう言ってたよな。でも、全っ然そんな顔に見えないぞ」
「でも彼氏募集中です。いい人いたら紹介してくださいよぅ」
みのりはチラッと佐々木を見た。佐々木はそんなみのりに微笑んだ。
「いい人って、お前紹介できるやついねえよ。佐々木は彼女いるし」
「ええ、残念」
「じゃ、菅生と付き合ったら?」
「私と菅生さん?」
みのりは隣に座る春樹を見て、目が合った。
「ぇえー! それ違いますよね」
「違うって言うか、さっきまでしてた話何だったの? ってなるよ」
春樹も戸惑って応えると、
「冗談だよ。でも何の話してたんだよ」
小峠が興味津々に聞いた。
「恵美莉のことです。菅生さんにも連絡がなくって心配なんですって」
「だから、もっと早く告っておけって言ったのに」
「え? そんな話までしてたんですか?」
「実はLINEで付き合おうって誘ったんだけどな」
「あー。そんな重要なこと、LINEでやったのか」
「なんだよ。別に変じゃないだろ。まだ軽く言ってみただけだよ」
「恵美莉は何て?」
「・・・考えときます・・・」
皆一瞬固まった。なぜなら、その声は窓際から聞こえたからだった。皆は驚いて振り返ると、窓を背に見慣れない格好の女子が立っていた。
作品名:EMIRI どんなに素敵な昨日でも 作家名:亨利(ヘンリー)