EMIRI どんなに素敵な昨日でも
「遠慮のないとこが自然体だよ。じゃ、それをメインにしてCコースでいいかな? デザートも付いてるし」
「そんな高いほうじゃなくって、Aコースでいいです」
「それ遠慮でしょ。このアルバイトには、食事も付いてるみたいなもんだから」
「え? そんないい仕事ないですよ」
「デザートにお勧めのクリームブリュレを食べてほしいんだけどな」
「おー、それには目が無いんですよね」
コンソメ仕立てのレンコンスープが運ばれて来て、恵美莉はそれをスプーンですくいながら、話を切り出した。
「あたし、気になる男子がいて、その人と付き合っていいのか悩んでるんです」
「先週知り合った彼だね」
「菅生春樹君て言う3回生です」
「ずうずうしい子だって言ってたと思うけど、どういうところに惹かれたの?」
「話してみると全然普通で、最初すごく構えてたのに、自然に一緒にいられるんですよ」
「今、僕の前にも自然体のままで話してるように見えるよ」
「あ、そうですね。先生も構えなくっても平気です」
「菅生君と付き合うって話は出てるの?」
「一度、LINEでそう言われました」
「どう返したの?」
「考えとくって」
「まだ、その気持ちになってなかったって事?」
「・・・うーん。付き合っていいのか分からなくって」
「うん・・・・・・」
「あたし次第ですよね」
「そうとすれば、もう付き合いたいんでしょ」
「でも元カレのことが気になって」
「しっかり別れたのに?」
「はい。この前もLINEが久しぶりに来たんですけど、はっきりと言って切っちゃいました」
「もう、けじめは付いてるってことか」
「はあ」
恵美莉は、深い溜息をついた。
作品名:EMIRI どんなに素敵な昨日でも 作家名:亨利(ヘンリー)