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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI どんなに素敵な昨日でも

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 桧垣は電話で正門にタクシーを呼んだ。2人はそれに乗り、繁華街へ向かった。桧垣が案内した店は、少し高級そうな個室のあるビストロだった。
「うわー、こんないい店初めてです」
「デートで連れて来てもらうと最高だろうけどね」
「いえ、先生とでも嬉しいです」
「ん?」
「あれ? また今の失礼な言い方でした?」
「ううん。好意的に受け取っておくよ。さあ、何食べようか」
「メニュー複雑ですね」
「大体、コース料理が基本だけど、アラカルトでもOKだし、まず、お肉がいいか、魚がいいか決めて」
「えへへ。お肉が好きなんですけど。こんな店でそれを言うのって、ものすごく恥ずかしい気がします」
「遠慮は要らないよ。まずはリラックスして自然体になろう」
「じゃ。お肉」
「それなら、ステーキもいいし、カツとかでもいいけど、ちょっと珍しいのに挑戦したらどう?」
「そうですね。うーんと、豚バラのカダイフ・・・焼き? なんだそりゃ?」
「ラムチョップなんかどう? 食べられる?」
「え? どれですか?」
「仔羊のグリルってやつ」
「羊はジンギスカンなら食べたことあります。挑戦してみようかな」
「はははは、ラムには絶対赤ワインだと思うけど、ワインはいける方?」
「まだ、飲んだことないです」
「19歳か。じゃコーラか何かで」
「はい。まだギリ十代です」
「僕はカジキのステーキを注文するね」
「カジキって、マグロですか?」
「厳密にはマグロじゃないけど、角のはえたもっと淡白な魚」
「トローリングで釣るやつですよね。それも食べたことないです」
「じゃ、お互いに少しずつ交換する?」
恵美莉は、少し恥かしそうに、
「ありがとうございます。分けっこしたいです」
「そうか、川崎さんてそういうところが人懐っこくていいんだろうね」
「ええ? 厚かましいだけですよ」