EMIRI どんなに素敵な昨日でも
「ダノウって何? 俺の英語通じてた? マクドナルドって聞いたんだけど」
「バカね。全部日本語で聞いてたわよ」
「バカバカ言うなよ」
「ごめんね。菅生君オモシロ過ぎるんだもん」
「もうオタクは、笑わさない」
「それなら、“オタク”って言うのもやめてもらえません?」
「あ、ごめん。昔からの癖なんだ」
「なんかそれこそバカにされてるのかと。でも、別に怒ってる訳じゃないんですよ。誤解しないでね」
「じゃ、“お前”」
「バカか、お前!(笑)」
「はははは」
二人は店に響かないように、声を抑えて笑った。
「もう! 普通に名前で呼べばいいじゃないですか」
「川崎さんて?」
「下の方」
「崎さん?」
「やっぱりバカか!(笑)」
「恵美」
「呼び捨てにするなら、莉まで言って欲しい」
「恵美ちゃん? 恵美莉?」
「春樹? 春樹君?」
(あ。あたし、この人にはまっていく・・・)
「もうそろそろ7時半になるよ。JOYに行かないと」
「はい。そうね」
恵美莉は席を離れる時、もう一度外人さんに頭を下げた。
作品名:EMIRI どんなに素敵な昨日でも 作家名:亨利(ヘンリー)