EMIRI どんなに素敵な昨日でも
「でも、取りあえず食べに行っちゃえば、何でもOKになるってことない?」
「そうですね。意外に後から結果オーライって感じに」
「結構そういう恋愛もあるしね」
「え? そんな・ことも・あるの・・・かな?」
(もう! わざと揺さぶってくるの?)
「そんなのばっかりだよ。中東って」
「あん? 中東の話?」
「親同士が決めたりするんだよ」
「はぁ」
「結婚を」
「あぁ、そうらしいですね」
(何なの一体。高度過ぎて付いて行けない)
「でも、中東って言ったら怖いイメージだけど、アラブの国って言えばステキなイメージ湧いてこない?」
「はい、そうですよね」
「そういう授業だよ。これ」
「・・・・・・そう?」
「俺、去年受けてたから知ってる。チョコもっと食べて。エミリさん」
「エミリさん?」
「呼び方変えたら、ステキなイメージ湧いて来るかも」
(ちょっと、もう)
その後も、ちぐはぐな会話に自分を慎重にコントロールしながら、恵美莉はチョコを半分以上食べた。
「オタクよく食べるね」
「食べろ食べろって勧めるからじゃないですか」
「でも、遠慮しないのって嬉しいな」
恵美莉は、颯介ともチョコ食べながら講義に出ていたことを思い出していた。
作品名:EMIRI どんなに素敵な昨日でも 作家名:亨利(ヘンリー)