EMIRI どんなに素敵な昨日でも
「中東って言ったら、テロリストのイメージしかないでしょ。でも実際はあたし達とは違う価値観で成り立ってるステキな部分も多いし」
「ふーん。価値観の違いなら。日本人同士でもいっぱいあると思わない?」
「中東と日本じゃ、比べ物にならないぐらいだと思います」
「じゃ男と女は?」
恵美莉は颯介のことを思い浮かべた。
「価値観て、男女の差じゃなくて、その人それぞれのものじゃないですか?」
「もう一個食べて」
「はい。ありがとうございます」
またチョコをつまんだ
「例えば食べ物の好みだって、人それぞれだろ。俺の好物がオタクが好きなものとは限らない」
「そうですね」
「でも、チョコは食べるんだ」
「チョコは好きなんです」
「そう。よかった。食事は和食派?洋食派?」
「え?」
「中華とかイタ飯、ハンバーガーは?」
「別にそんな種類分けして考えたことないですけど」
「じゃ、肉派? 魚派? ベジタリアン?」
「何でも食べられます」
「それじゃ君の好みが分からない」
「・・・あたしの価値観聞いて、どうするつもりですか?」
「この後、何食べに行くか考えてるんじゃん」
「あ、・・・そっちでしたか」
(何よこの人、また赤面しちゃうじゃない!)
作品名:EMIRI どんなに素敵な昨日でも 作家名:亨利(ヘンリー)