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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI どんなに素敵な昨日でも

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 この日恵美莉は、遅くまで授業があった。
「あたし、今日、5時限目までなんですけど」
春樹に言った。
「そうなの。どうしようかな。俺4時限までだよ。5時限は何の授業?」
「“中東事情概説”です」
「じゃ、大講堂?」
「いえ、その時間のは小講堂なんで、代出(聴講カードのズル提出)が難しいんですよね」
「じゃ、俺も一緒に出席しようかな。寝ててもいいだろ」
「そうしてもらったらいいじゃない。私はその時間道場だし。彼氏いなくなって恵美莉も一人でしょ」
みのりはグイグイ押し込んでくる。

 4時限目終わり、恵美莉はウキウキしている自分に気付いた。次の小講堂に向かう途中、春樹と出会う可能性を考えてキョロキョロしていたが、逆にそんな自分を目撃されたら恥ずかしいので、まっすぐ前を向いて気にしていないように振舞うことにした。

(これだからカワイくないんだよね、あたし)もっと素直に、気持ちが表現できるようになりたいと思った。

 講堂に着いたが、春樹はいない。(どうしたのかな?)と思いながらも、恵美莉は、机の列の端から2番目に座った。それは、春樹が遅れて来ても、隣に座れるように。
 気になって、入り口を振り返ってみたくなったが、また、そんな自分を見られると恥ずかしいと考えた。

(ここは敢えて、振り返って待ってみよう。気になってることを伝えられるように)

♪キーン コーン カーン コーーーン♪

 春樹は、チャイムと同時にやって来た。その瞬間、二人は目が合って、恵美莉は嬉しくなり、自然に微笑んだ。

(やった。成功!)