Planet of Rock'n Roll(第二部)
「まさかあのペイジさんとセッションできるとは……夢のようでした」
ボリスの屋敷に設けられたスタジオで2時間ほどセッションしたあと、イーゴリはまだ興奮冷めやらぬ様子だ。
「いや、こちらこそ素晴らしい体験をさせてもらった、まさかバラライカでロックが出来るとは思ってもみなかった、ユリアのピアノも素晴らしかったよ……我々三人を君らの仲間に加えてもらえると嬉しいのだが……」
「仲間に加えるって……それは立場が逆でしょう?」
「いや、私はもう一昔前のミュージシャンさ、新しい時代の新しい音楽を作って行くのは、イーゴリ、ユリア、君たちだよ、我々はあくまで君らのサポートに徹したい、リーダーはイーゴリ、サブリーダーはユリア、それが我々の条件なんだが、どうかね?」
あまりのことに言葉が出ない二人に、ボギーが助け舟を出した。
「もうバンド名も決まってるんだろ? イーゴリ、ユリア」
「ほう? 何と?」
「あの……ベア・ナックルです」
「それは良いな、ロシアらしいし、いかにもガツンと一発カマしそうな名前だ、じゃ、ベア・ナックルの誕生を祝って乾杯しようじゃないか」
ボリスが棚のウォッカに手を伸ばす。
「ボギー、君はバーボンのほうが良かったかな?」
「いや、もう慣れたよ、飲みつけるとウォッカも悪くない、バラライカを聴きながら飲むにはバーボンよりウォッカさ……」
(続く)
作品名:Planet of Rock'n Roll(第二部) 作家名:ST