小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

聞く子の(むかしの)約束

INDEX|4ページ/17ページ|

次のページ前のページ
 

第2章 大物との出会い



 昨年秋になって、ノベリストのアクセス数が増えてきた。言わずと知れた小説投稿サイトのことだが、私の処女作『聞く子の約束』は、更新を続けるうちに、常にアクセス上位に留まる作品になっていた。それにキクちゃんは登場している。
 実体験を告白するような内容に、自分自身抵抗はなかった。なぜなら25年も昔の話で、今更そのことをとやかく言う人はいないと思ったからだ。
 ネットで知り合った方たちも、その内容を好意的に受け入れてくれている。一部の人は登場する地域を特定してしまって、実在の人物にかなり迫っている。もし、キクちゃんがその投稿を読んだら、きっと怒ると思う。
 当時は何も気付いていなかったが、彼女と過ごした3年間は、私にとってとても重要な経験だった。彼女には男としての何かを教育されたと思っている。それだけではなく、もともとセレブな家系の彼女の感覚を、満足させられるように努力を続けたことで、私自身の行動パターンが洗練され、社会に出てから、よりレベルの高い地位にいる人たちに、目を掛けてもらうことができるようになっていた。

今の私があるのは、キクちゃんのおかげと言っても過言ではない。

 ある日私は、自分の人生を変える超大物と出会った。25歳になる直前のことだった。きっかけは懐かしい友人からの電話だった。

「もしもし、木田っち?」
「あれ? その呼び方するのは、慎之介?」
「そう。久しぶり」
「4年ぶりぐらいじゃないか?」

 彼は学生時代に一緒に印刷工場でアルバイトをしていた元暴走族だ。私はそのヤンキーが、非常に気に入っていた。4歳年下だったが、人とは違う感性で突き進む姿に、何か可能性を感じさせた。

「木田っちは、もう就職した?」
「ああ。銀行に」
「えっ? 銀行? 貿易会社に行くって言ってなかった?」
「うん、そんな時もあった。お前はどうしてんだよ」
「俺、鳶してる。建築の」
「高いとこ上るやつ?」
「そう」
「あそこの印刷工場に就職するって言ってたじゃないか」
「ああ。高校中退したからダメになった」
「何でガッコやめたんだよ」
「無免許で、人身事故して」
「バカだな。何やってんだ。今はまじめに働いてんのか?」
「そうなんだけど、おかげですごい人と知り合いになったんだ」
「ええ? どういう?」
「まあ、それで、木田っちに相談したいことがあって・・・」
私は彼に会う約束をした。電話を切ってすぐに国道沿いの喫茶店に向かった。