小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
松浪文志郎
松浪文志郎
novelistID. 62568
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

ふうらい。~助平権兵衛放浪記 第三章

INDEX|4ページ/5ページ|

次のページ前のページ
 





「どこへゆくの?!」

濡れ縁に腰掛け、草履を履いた権兵衛に妙が鋭い声をかけてきた。

「まさか、このまま……」

妙があとの言葉を呑み込む。

「いや、呑みにゆくだけだ」

権兵衛はわざとそっけなくこたえた。

「うちで呑めばいい……」

妙の顔はいつにも増して不安そうだ。

「あたし、なんかあのひとたち……」

「嫌いなのはオレも同じだろう」

「あんたは嫌いだけど……あのひとたちは……」

いおうかいうまいか、妙は珍しく口をもごもごしている。仮にも夫が苦労してみつけてきた用心棒たちだ。

「あのひとたちは……なんだ?」

「こわい」

怯えをはっきりと顔にだして妙がいった。
妙の感覚は権兵衛にもわかる。剣客のふうを装っているが、荒んだ雰囲気とさもしさが顔や態度にあらわれている。
こちらの出方次第では、どうとでも転ぶ輩だろう。

「ちょっと一刻遊んでくるだけだ」

権兵衛はそういうと屋敷門をくぐって出ていった。