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松浪文志郎
松浪文志郎
novelistID. 62568
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ふうらい。~助平権兵衛放浪記 第一章

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「やあ、オレの名は助平権兵衛。見ての通りの放浪無頼の浪人者だ」

底抜けに陽気な声で浪人者――助平権兵衛が農婦に向かってあいさつした。
農婦がしどけない姿で横たわっているのに比べ、早くも権兵衛は身繕いを整えている。

「あんたの名前を聞かせてくれぬか?」

いささかも悪びれた様子はなく、権兵衛が農婦の顔を覗き込んできく。

「よくそんなことを……自分がなにをしたか、わからないんですか?!」

農婦は目に恨みの涙をためて権兵衛をにらむ。

「すまん! オレはいいオンナをみると、衝動が抑えられないんだ。
自分でも悪いクセだと思っているんだが、わっはっはっは!」

悪いクセどころのハナシじゃない!
強姦魔が開きなおって陽気なフリでごまかそうとしている。

「お役所へ訴えでます」

農婦はようやく身を身繕いを整えると、立ち上がろうとして尻餅をついた。
その拍子にどろりとした白汁が内股を伝え落ちてくる。
浪人者が持っていた桜紙を農婦の手に握らせた。
農婦が浪人者に背を向けて処理する。

「いや、本当にすまぬ。訴えでるならでても構わん。オレもこの道に生きると決めたときから覚悟はできてる」

「この道?」

思わず農婦が問い返す。なにをいってるのか、この強姦魔は?

「色の道だ。これでもオレは昔、江戸で一流の剣客を目指していた。
だが、天稟がないと気づいてからは剣の道は捨てた。
そこであっちの宿場、こっちの宿場と具合のいい女を探して旅をつづけている……というわけだ」

「バカじゃないの、あんた!」

吐き捨てるように農婦がいった。にらむ瞳に侮蔑の眼差しがこめられている。

「おーい、妙さーん、大変じゃ、おハナ坊が大変なんじゃよー!」

小屋の外でしわがれた声が響いてきた。
農婦がハッと身を固くする。

「あんたを呼んでいるのか?」

「あんたはしばらくここにいて!」

農婦は立ちあがると、権兵衛を突き飛ばすようにして小屋を飛び出してゆくのであった。