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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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僕らの再出発

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Hugo Side


 あいつが死んでから、俺は何日も酒に溺れてた。ひどいときには床に座り込んで、シャワーを浴びるみたいに酒を頭にぶっかけて、床をびちゃびちゃにしたくらいだ。ずうずうしく俺の部屋に居着いてるピッパも、俺のそんななりを見て随分おびえてた。俺にとって「音楽をやること」イコール「『LOVE BRAVE』をやること」であって、それを木っ端微塵なまでに壊され、生きる意味すら分からなくなっちまった。2カ月ぐらい前、俺が
「もう『LOVE BRAVE』はできないから、音楽をやめる」
 みたいなことを言ったとき、ピッパが
「だったら、ピッパがヴォーカルになるから、ユニット組んでデビューしない?」
 なんておかしなことを言いやがって、俺は真っ向から否定した。
「できるわけねえだろ、まともに人前で歌ってもいねえくせに!」
 で、そいつと激しくもめて、ついにあいつは
「音楽やらない腰抜けヒューゴなんて、ピッパの王子様じゃない!!」
 なんて捨てゼリフ吐いて、荷物を全部持って俺の部屋を去っていった。
 俺はというと、完全に音楽と決別したくて、ギターを1台床にたたきつけて、真っ二つにした。その頃には、もう仲間たちの顔を見ることもなくなった。

 そのあとは、生きてくためにレンタルビデオ屋とか、ガスステーション(いわゆるガソリンスタンド)でパートタイムジョブをしていた。仕事を終わらせうちに帰っても、何かむなしく、何の刺激もない日が続いた。
 そんなある日、俺にかかってきた一本の電話で、俺の運命は想像もしなかった方向に動いた。
作品名:僕らの再出発 作家名:藍城 舞美