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幻想人手帳

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猫と彼


彼はある日、猫に出会った。
人懐っこくて気まぐれそうな猫。

歩きながら振り向くたびに、後ろからとことこ着いてきた。
彼は猫に興味をもった。

家でも猫は、彼に着いていった。
冷静でどこか寂しそうな彼。

歩きながら後ろで鳴くたびに、「どうしたの」と構ってくれた。
猫は彼を気に入った。

けれど

いつのまにか、鳴く猫に
彼は言う「もうちょっと待ってて」
猫は思う「おもしろくにゃい」

気まぐれな猫は外に出て、帰り道を探そうとした。

気がつくと、振り向いても猫がいない。鳴き声がしない。
彼は思う「帰らなかったらどうしよう」
寂しがりな彼は外に出て、猫を連れ戻そうとした。

そして

猫は見つかって、抱き上げられた。
鳴いて元気そうな姿を見て、彼は猫を抱きかかえる。

小さくてかわいいぬくもり。
彼は思う「おかえり」

彼は家に着くと、眠りについた。
安心して幸せそうな表情を見て、猫は体をすり寄せる。

大きくて落ち着くぬくもり。
猫は思う「ただいにゃ」

ようやく

彼は、帰られる場所になった。
猫は、帰る場所を見つけた。 

かけがえのない、一人と一匹。

作品名:幻想人手帳 作家名:迂条綜途