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小学校テロ事件

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時間1:59 2:00まで、10秒前
ー運動場にてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

人々は、空を見上げていた。。
風邪を切る大きな音に気が付いて空を見ている、
空には、ヘリコプターが飛んでいる。
ヘリは、校舎3階の真上にたどり着いたところで、何かを落とした・・・

その瞬間、大きな光が、学校を包んだ。
町を包んだ。
テレビを画面をまっ白に染めた。。

テレビの前の人々。日本中、世界中の人々が、ぼうぜんとしていた。
そして祈った。神に祈りを捧げた。
無神論者でさえ、神にすがった。
傍観者にできることは、それ以外に何もないのだから・・・・












<担当捜査官の手記>

如月小学校テロ事件について事件の概要と考察1
 
 犯人の人数は不明だが少年Dの証言から少なくとも容疑者一名が確認された。
 犯人の逃走ルートは明らかではないが、校舎を取り囲む様に停められたワゴン車から容疑者一名のDNAを確認した。
 ワゴン車の床には穴が開けられ、その穴はマンホールと繋がっていて、犯人は下水から逃走したと思われる。
 3つのワゴン車には峰岸養護施設から誘拐された知的障害者が座席に縛られていた。ドアは内側から容易に開閉できない様にガムテープで閉じられていた状態にされていて、恐らく複数犯に見せかける為の犯人側の策かもしれない。『校舎から逃げる人々を撃ち殺す』という犯行声明は嘘だったのかもしれない。
 しかし、核兵器の起爆スイッチは同車内にあり、犯人がそれを作動しなかった理由が不明。元々作動させるつもりはなかったのか、それとも宗教的に何らかの意図があるのか、犯人自身が核の有効範囲1kmから逃げる事ができなかったのか、理由は定かではない。
 
 ヘリコプターは校舎真上に爆弾を落とし、3階を破壊し、死傷者2000人出して自爆した。
 当初、犯人がヘリコプターに同乗してる可能性も考えられたが、死体などの痕跡が無かった事から、犯人は遠隔操作で無人型のヘリコプターを操っていたと思われる。


 カエデ巡査の報告によると保健室廊下にて犯人とおぼしき血痕を発見したという。 少年Dは犯人と交戦して発砲したが、当初、少年の証言では犯人は負傷しなかったとされる。確かにその血痕はワゴン車で見つかった犯人のDNAと一致した。
 しかしながら、弾の発射の方向と少年の証言した内容が一部異なる。少年が犯人に弾を当てたのが実は間違いだったとするなら、当時現場で別の誰かが犯人を撃っていた事になる。
 実際弾痕は少年の証言とは異なる場所から発見された。
 『犯人は廊下で背後から誰かに狙撃されていた』と考えるのが妥当かもしれない。

 少年Dは峰岸児童養護施設に籍を置いているが、峰岸障害者施設とは同じNPO法人で峰岸代表が任を置いている。
 峰岸代表と犯人とD少年の組み合わせに事件の何らかの関係性があり、それが少年Dが犯人に殺されなかった原因であるのなら、そこからの調査で犯人の糸口が見えるかもしれない。


 

如月小学校テロ事件について事件の概要と考察2

 犯人が目撃者である少年Dを殺さなかった合理的理由について、身内である可能性を考慮してDNAの検査をした。
 少年DのDNAと犯人のDNAは部分的に一致し、犯人は少年の非常に近い親戚になる事が判明したが、少年Dが孤児だった事もあり、親類の素性を特定するところには居らなかった。
 少年Dが特殊な出生事情を抱えていた事もあり、少年Dから犯人を辿るのは事実上不可能とされた。
 少年Dには、年齢を考慮して犯人とのDNAの部分一致については伝えてはいない。


現場担当が不意に見聞きした話では
事件の被害者である少年Sはネットに拡散された動画(親が自分の手で死ぬ光景)みてしまい、ショックで精神病院に入ったらしい。
少年DはSを見舞う為に何度も病院に通っているそうだ。
















 <大介の視点>

「翔太、仇は絶対とってやるからな」

そう言ってから10年が経ったが、未だに犯人の手がかりすらない。
警察官になって事件の資料を調べても、それらしい手がかりはない。

そもそも、この恵まれた日本でテロ事件発生すること自体が考えられない。
日本人がその様な虐殺をするものか? 
犯人はヘリコプターを導入して誘拐までできる豊富な資金源がある筈で、その様な財に恵まれながらもテロ行動をした。
富裕層がテロを起こすなんて通常考えられない。
アルカイダやイスラム国の犯行なのか? 宗教観があるなら犯行声明にて神の名を語る筈である。
犯人は声明で『神の代理人』と言ったが、それがどんな神を示すのか判らない。


翔太は事件のショックで、廃人の様になり、意識がどこかに飛んで行ったかの様になってしまった。
だけど、最初は苦しむなりも、怒ったりしていて、翔太の意識はちゃんとあった。
話しかければ、泣きながらでも返事をしていた。

あの日、学校に行った翔太に何かが起こった。
意識が完全に飛んで、まるでどこかに行った様な・・・





<翔太の視点>

この世界に来て早10年になる。
事件のあった如月小学校前には慰霊碑が建てられていた。
そこからゲートを潜って異世界に来たのだが、本当にこの世界に犯人がいるのだろうか。

当初、慰霊碑の前の集まった1000人の魂は確かに俺の願いを聞き入れてくれた。
時間を蒔き戻して事件を防げる様にアシストしてくれた。
でも、過去を変えても、時の矛盾が生じるだけで、元の時代は何も変化していない。

俺は慰霊碑にもう一つのチャンスを貰った。
犯人に復讐するチャンスを貰った。

事件そのものを防ぐ事はできないが、犯人を追っかけて復讐する事はできる。

しかし、まさか犯人がこの世界ではなく、別の宇宙の生物に魂を転移させて生きていたとは知らなかった。

犯人の肉体は地球上のどこかにある。だがその意識は異世界にて生きてる。

どちらかを滅すればいい。


俺は意識の大半はあちらの世界に飛ばして貰った。地球での俺は廃人の様になってるだろうか。

見舞いに来てくれる大介に悪いが、手がかりを得られるまでは元の世界に帰る気はない。






<大介の視点>

翔太がおかしくなったのは、病院を抜け出してあの日からだ。
目撃者によると、最初、翔太はそこで徘徊いていたという。
入院患者服を着ていて、直ぐに病院に連絡が行き、保護されたというが、
突然の翔太の症状の変化に医者はまともな回答をくれなかった。
「患者にはこういう事がたまにある」
と、言われた。

昨日まで声を発していた人間が突然、一言も発しなくなるなんて、ありうるだろうか。

そもそも翔太はどうして慰霊碑の前に行ったりなんかしたのだろう。嫌な思い出が一杯つまった場所の筈なのに

翔太はそこで何を願ったのだろうか

ここで何を願ったのだろうか。


沢山の人が死んだ。一度に沢山が。

わけも理由も判らないままに、


事件が起こる前は毎日が楽しかった。

あの日に帰りたい。

翔太のオヤジさんたち、クラスメイト、お姉ちゃん

出会う前でも、いいから帰りたい。
作品名:小学校テロ事件 作家名:西中