黄泉明りの落し子 狩人と少年
彼は再び、歩き続けた。そうしながら、ミタリを探したが、何一つ見つかりはしなかった。道を阻む植物を、銃で避けながら、進み続けた。
その目には、今や、確かな光があった。だが、その面は、ひどく青ざめていた。
「ピクシよ……」
夜になった時、繁みの一角から、聞きなれた声がした。しかし、何かがおかしかった。
彼は声のする方を向いた。ブラッツェが立っていた。
だが、その顔に、いつもの快活さはなかった。どこか、呆然とした顔つきだった。
「犬はどうした?……槍も」
ピクシが訊ねると、ブラッツェは首を振った。
「逃がした……アボロには、私のようになって欲しくはない」
「どういうことだ?」
「もはや夜……共に晩餐でもどうだろうか、友よ」
彼はそう言ってピクシに歩み寄る。
「ブラッツェ……顔色が悪いぞ」
ピクシは尋ねた。ブラッツェは答えた。
「そなたもな」
笑みを浮かべたらしかった。口元が歪んだだけだった。
作品名:黄泉明りの落し子 狩人と少年 作家名:炬善(ごぜん)