黄泉明りの落し子 狩人と少年
彼らは何十秒もの間黙り込んだ。ピクシが握りこぶしを作って見下す中、ミタリの涙が落ち続け、嗚咽が冷たい空気を震わせていた。
「…………もういい。泣くのは止すんだ」
やがて、ピクシがそう言った。
怒りを押し殺した声に思えた。しかし決して、無慈悲な声ではなかった。
彼はミタリに背を向けた。
「飯にするぞ……」
ピクシは屈んで、鞄を探り出した。
少年は、地面から起き上がりながら、その後姿をじっと見つめていた。
作品名:黄泉明りの落し子 狩人と少年 作家名:炬善(ごぜん)