お待たせ。
「ふぁぁぁあああぁぁぁ~」
手で隠すこと無く、真一君は 3度目の大欠伸をしました。
その瞬間、葉月さんが、素早く腕を伸ばします。
大きく開いた口の真ん中に、右の人差し指を差し入れたのです。
突然の出来事に、固まってしまう真一君。
その姿を見て、葉月さんの目が笑います。
事態を把握した真一君は、ムッとしました。
人差し指の第一関節の辺りを歯で噛むようにして、口を窄めます。
「な、何をするんですか!」
真一君は、噛み加減に気を付けながら、指を舐めました。
「や、止めて下さい!!」
半泣きで、抗議の声をあげる葉月さん。
逆襲に成功した真一君は、指を咥える力を緩めました。
指を開放された葉月さんが、声を荒げます。
「何て事を、するんですか!」
「…頬を膨らませられる、立場じゃないよね!?」
「噛んだり舐めたりするなんて、信じられません!!」
「─ 口に指を入れてきたのは…葉月ねーちゃん、なんだけど。」
「シンちゃんは…そんな事しない人だって、信じていたのに……」
真一君は、疲れた顔で立ち上がりました。
「口…濯いでくる。。。」