赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 26話から30話
赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (27)
他愛もない騒動
『春奴母さんと豆奴姉さんが、帰っちまうのは一向に構わないが、
なんでおいらのミイシャまで、一緒に帰るんだろう。
とつぜん帰られたら、今夜から、おいらが寂しくなっちまうじゃないか』
『いいじゃないの。あたしが居れば大丈夫でしょう。たまは』
『駄目だ。おめえは俺のタイプじゃねぇ。
だいいち、おっぱいも大きくないくせに、一人前の口をきくな。
胸が大きく膨らんで、あそこに毛が生えて、お尻が大きく丸くなったやつの
ことを、一般的に大人の女と呼ぶんだ。
お前さんはなにひとつ、そいつに該当していないだろう。
まだ半人前のくせに、生意気な口をきくんじゃねぇ』
『なんだと。もう一度、言ってごらん。この生意気な口は』
清子がたまのヒゲをつまみ、エイとばかりに思いっきり上へ引き上げてしまう。
『アッ、イタタ。この野郎。ヒゲを引っ張るのは反則だぁ。
まいった。降参だ!』
バタバタ手足を振り回したたまが、大きな声で悲鳴を上げる。
『わかればよろしい』清子がたまをポンと放り出す。
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 26話から30話 作家名:落合順平