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赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 26話から30話

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赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (30)
 半玉の着付け

 お粉(しろい)は、一度塗ったら、それで終わりというわけではない。
ファンデーションをなじませていく時と同じように、鏡越しに映る自分の顔を
何度も確認しながら、スポンジを使い肌になじませていく。

 正座したままの清子が、くるりと向きを変える。
合わせ鏡を使い、いま塗り終えたばかりの背中の様子を確認する。
芸妓のお化粧方法は、お姐さん芸妓から妹芸妓へ、実践と口伝えによって
伝えられていく。

 「すべてのことは、見て覚えます。
 わからないことがあれば聞いて覚えます。
 身支度も、芸も、自分から身に着けることがすべてです。
 あわてることはありません。
 できるようになるまで、ウチがきちんと見届けますから。うふふ」

 小春姐さんが清子の背中で、目を細めて笑う。
小春姉さんは、間近に迫った舞台の準備のため、舞の稽古で忙しいはず。
それなのに部屋の隅に座ったまま、じっと清子を見守っている。