広瀬川にかかる橋
「ありがとうございます」
「ところでさ、これ作ってる人って女性か?」
「はい」
「年配の?」
「いえ、二十七歳だそうです」
「ほう、君は三十だったよな」
「そうですけど……」
「年回りは良いな、タイプか?」
「え? その、まあ……」
「ははは、値切りたくない理由のひとつはそれだな? まあ、この値段で良いから早速発注してくれ」
「では、今日中にもメールしておきます」
「おいおい、見本は返さなくちゃいけないんじゃないか?」
「え、まぁ」
「だったらもう一度仙台に行くんだな、これから取引先になるんだから食事ぐらい奢って来いよ、必要経費で良いぞ」
「はい!」
全く、この部長の下でならやる気もふつふつと湧いてくるというものだ。
しかし、ここまで言ってくれるのは、部長も仙台平の小物に価値を見出してくれたからに違いない。
これはきちんとモノにしなければ……。
商品はもちろんだが、出来ればその作り手も……。