残念ながら
「豆ちゃんは…」
俯いて悄げる豆狸に、都さんが尋ねます。
「人間の食べ物とかは…食べられるの?」
顔を上げずに、豆狸は頷きました。
「…ちょっと、待ってて。」
立ち上がった都さんは、部屋から出て 大きな瓶を抱えて戻ってきます。
「クッキーとかは…大丈夫?」
大きく頷いた豆狸に、都さんは提案しました。
「じゃあ、これ食べて。恩返しで!!」
都さんは、不思議そうな顔をした豆狸に説明します。
「実は…ストレス解消で、クッキー作るのは好きなんだけど…」
「…」
「─ 甘いものが、あんまり食べられないから…持て余してるんだよね、これ。」
テーブルの上に置かれた クッキーの沢山入った瓶を、豆狸は凝視しました。
「頂いても…宜しいんでしょうか?」
「食べて、食べて!」