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海だ! ライダー!(前・後編)(われらの! ライダー!)

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 振り返るとシェフの帽子をかぶったメキシコ人らしき太った男が、両手を後ろに組んで陽気な笑顔を振り撒きながら近づいて来る、ぱっと目にはシェフがお客に『お味はいかがですか?』と尋ねに来たように見えるが……。
「あなた達、下がってて……」
 晴子は子供達に小声で指示すると、シェフに向き直った、そのとたん、陽気な笑みは消え、目を吊り上げたシェフが振り上げたもの、それはギラリと光る包丁、そして晴子に向かって突進して来る。
「はっ!」
 晴子は素早く空中に五傍星を描く、すると突進して来たシェフは見えない壁に激突したかのようにひっくり返って失神してしまった。
(なんてことなの、油断していたわ……)
 漂う『気』に注意を払うとかすかだが邪悪な『気』漂っている、そして……。
(大変! ライダーたちに報せないと!)
 謎の巨大生物の『気』も感じる、場所は……。

 晴子は四枚の紙ナプキンになにやら書き付けると、掌に乗せてふっと吹き飛ばす、すると紙ナプキンは白い鳩になって飛び去った。


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


「みんな!」
 晴子が向かったのは『海底2万マイル』、そこにはライダー、ライダーマン、マッスル、レディ9が既に集結していた。
「式神の伝言は受け取ったわ、巨大生物って?」
 レディ9が息を切らせている晴子を抱きかかえるようにして尋ねる。
「クラーケンよ!」
「クラーケンって、巨大イカのこと?」
「そう、『海底2万マイル』にはクラーケンが登場するわ、もちろんいつもなら電気仕掛けの作り物だけど……」
「本物がいるの? このアトラクションの中に」
「ええ」
「だとしたら大変なことよ、そのクラーケンは……」
「ええ、巨大化しているだけ、物理的攻撃で倒せるわ」
「ならば急いだほうが良さそうね!」
「「「おう!」」」
 三人ライダーはアトラクション内部に走り去り、レディ9は一足遅れて、まだ息が上がったままの晴子を抱きかかえるようにして三人の後を追った。

 (後編に続く)