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死痛苦のシナリオ

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人が死ぬ文章を投稿する事によって起きる死の罪は誰にあるのだろうか?

死ぬと判っていて人に、それを見せるのだから殺意があるのと同じ意味では無かろうか。
仮に罪を肯定しても裁判にになりえるのか?

法律では神、霊的現象の事件は責任の所在は何処にも無いとはっきりと明記されているし・・・
仮に法律がそうであっても、死んだ人の遺族は裁判を起こすのだろうか。
非科学、超常現象は、裁判では裁けない。被害遺族にしてみれば裁判しても無意味。だが、やり場のない怒りを何処にブツケテいいのか判らない。
裁判以外にできる事は、啓発活動くらいで・・・

私は、そんな事をあれこれと考えながらモニターを凝視していた。


 無意味な文字の羅列。一応、文字列をネットで調べてみたが、何かが判った訳ではない。
唯一検索キーワードに引っかかるそれらしいのが『苦痛死』という単語である以外には・・・

 『苦痛死』で、まず目に飛び込んで来たのが二酸化炭素による苦痛死だった。
 保健所に送られる野良猫や野良犬は最終的に引き取り手が無い場合、炭酸ガスによって窒息死させられる。
 安楽死が愛護団体から求めらられるが、処分施設の従業員の命の安全を考慮して、その他のガスは使えない。
 また、個別に安楽させる場合、注射、薬剤が必要になり、コストが掛かる様だ。
 子猫一匹約35円、大人の猫で500円。犬猫は年間10万匹が殺処分されている。


これ以外に苦痛死のキーワードでは、特に目に留まるものはなかった。

私は、この字の羅列をしばらく凝視していたら、『亡死』に注意が向いた。

逆から読めば死亡であるのだが、この文字配列は中央にシを起点にして、左へも右へも読める様になっている。
試しに苦痛死を右から左へと読んで『死痛苦』というキーワードで検索をした。



 調べると中国園でのヒット率がやけに多く、読解が難しい。
 ネット辞書の中国語翻訳で、『死しんでも苦痛』という意味なったが、特に、意味があるとは思えない。

 それから私は何気なく中国語サイトをブラウングしていた。
 と、その時、私の興奮は頂点に達した。
 見つけてしまった。
 全くこれと同じ画像が其処にあった。
 
 私は重点的にその画像の周辺の翻訳に勤めていたら、投稿者と連絡を取れる可能性があるのに気づいた。
 素人レベルの中国語を勉強をして、つたないカタコトの翻訳でコンタクトを取った。
 
 相手からの返信を読解して判ったのが、中国では半年以上前から、これと同じ文字列が広まっていて、『死痛苦』という呼び名がついているらしい。
 そしてその『死痛苦』に関わり、死んでいった人が沢山居るらしい。

 私は、そのとき恐怖した。心のどこかで単なる偶然だと思いたかったのだ。
 
 だが、まだ大丈夫だと思う。一時、冷静さを失った私だが、まだ、偶然の一致という可能性も残されていると思った。
 中国で『死痛苦』を投稿している彼は狂言者かもしれないし、私の語力では真実まではやはり判らない。中国で死痛苦が広まっているなら、多くの人が死に予備軍であり、私が死ぬ確率は比較。

 私はとにかく事が起きる(死痛苦の力が証明されるまで)時間を待つことにした。
 というより、それしか出来なかった。



約1ヵ月後
全ては真実だと判った。。

事件と噂は日本中に飛び交っていた。
マスコミやメディアでも『死痛苦』は報道され、もはや日本人で知る者は居ないというレベルまで広まった。
しかし、そこで疑問が一つ残った。
中国側においては、日本で事が起きる以前にマスコミが騒ぐ程の広まりは無かった。
中国で死者が出ているという情報は一切聞かない。あくまでも噂レベルだ。
日本国内においてのみ死者が現れている。

私は、この瞬間物語の真実が判った。
真実を知らせる為、警察へと掛けもうとして玄関口の扉を開けたその時―――



―――私は倒れた。






<怪文書64人死亡事件特別捜査本部警視庁特別会議室設立>
この事件は略して「64事件」とも呼ばれている。
64人目の死者が出てようやく事件として形を成したという訳で64事件と呼ばれた。
なぜ64人目になるまで遅れたのかというと、本部は、自然死として扱うべき意見と、統計的不自然さを扱うべき意見と、議論している間に漠然と時間が過ぎていったのだ。 
 




<謎の少年X>

僕が子供の頃、当時、4歳くらいだろうか。
窓の外で大きな気配を感じて窓辺に歩み寄り2階から転落した。
頭に大きな損傷を受け、意識不明となるも助かる
奇跡だと周囲は言ってたらしい。

この時の唯一残っている記憶が、窓へと駆け寄る自分の後ろ姿だ。

不自然な記憶にオカルト的なものを感じるも、現在の僕は、この現象を理解している。
幽体離脱でもデジャブでも脳の誤作動でもない。

窓の外に居た存在は僕を監視する者である。
必要事項に応じて必要となるデータを採取すべく僕の脳をダウンロードする役目だ。
その存在は、全人類に割り当てられていて皆監視されている状態にある。

全ては、ある一人の人間の記憶データを回復する為であるが、この計画は1万年以上前から始まっていた。

彼は宇宙を旅している間に事故に合い、地球に不時着した。
宇宙船は運悪く壊れていて仲間との連絡もとれなかった。
そこで彼は自分が死んだ後に仲間に蘇えらせてもらう為に脳内の情報をDNAに組み込みアダムとイブにインプットした。
アダムイブから始まる子孫たちはDNAにインプットされたデータがその都度、分裂を繰り返し、未来へと情報の断片として繋げて行く。

その情報の断片を採取しているのが、見えない監視者の存在で、彼の生前の記憶のバックップと宇宙航行の後の予測される記憶との整合性を高め彼を再度蘇らせようとしている。

この行為は西暦0年頃から行われ、ちょうどエジプト文明の終わり辺りから始まるのだが、現在2000年で、あと少しで、この計画が終わる様である。
この計画が終われば、彼らにとって地球は用済みとなるだろう。

地球の生態系を元に戻す為に、彼ら宇宙人は僕たち人類を絶滅させる。僕がそれを知っているのは、宇宙人達が人類を試しているからだ。

人類の途上文明で宇宙人にどのような足掻きができるのか。余興として、宇宙人は高みの見物をしている。


死痛苦の存在と、僕の様なイレギュラーな存在が、まさにそれ―――

人間を絶滅させる前に、宇宙人は自分たちのハイテク技術を人間に見せびらかしている。
エジプトのピラミッドの三角構造、死痛苦にも三角が隠されている。宇宙人がその時代から関与してきたというメッセージなのだが

気付く人々は少数かつ、多くの場合、破滅信仰者だ。
オカルト的な人類滅亡論を信じる宗教者は得てして、極端な殺戮を計画する。
人々を大量に虐殺して神にその魂を捧げれば、救済される等と本気で信じていたりする。

宇宙人に潰される前に人間同士で潰しあわなければいいのだが・・・





<学校の先生視点>

私は玄関先にて過労で倒れてしまったが、

気を奮い立たせ、起き上がり玄関を閉めず警察へ駆ける

しかし、警察は、半信半疑のリアクションで信じて貰えない。
作品名:死痛苦のシナリオ 作家名:西中