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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 後編

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「そのときは俺も行く」
「でもおまえ、あそこ入れないだろ」
「入れなくても、待ってる」
「そうか」

静かに秋が行く。羊雲が芸術作品のような模様を描いていた。

「おまたせー!バターもらってきた!」

郁と志帆を連れて、颯馬が戻ってきた。お盆にバターやらお茶を載せて。

「志帆さん、平気?」

彼女は、伊吹の問いに小さく微笑み返し頷いた。

「郁ちゃんと話してて、元気出てきました」
「えー、なんの話してたのー?」

颯馬がアルミホイルを開きながら尋ねる。

「好きなひとの話とか…」
「なんだって!なぜ俺を呼ばないんだ郁ちゃん!」
「颯馬くんはお芋焼いてたじゃん」
「…いい匂い。いただきます」

秋空の下で、みんなでジャガイモを食べる。あつあつの芋の上でとろけたバターの匂いが食欲をそそった。

「…今夜で、全部終わらせられるかな。お兄ちゃんに、戻ってきてもらえるかな」

小さな志帆の呟きが、ぽつりと秋風に流れていった。




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