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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 後編

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空の下で



朝ごはんを食べてから、おのおのはのんびりと過ごしている。ショックを受けている志帆には、郁がついているから大丈夫だろう。颯馬は庭で、枯れ葉と一緒にヒトガタを燃やしている。これで伊吹に集中していた一連のできごとは終息するはずだ。

縁側に座り、伊吹はぼんやりとたき火を眺めていた。隣で瑞も、言葉もなく座っている。二人してみた光景が、衝撃的だったのもあり、口を開くのも億劫だった。

「…同じものを視るなんて驚きましたね」
「あのとき、こうすれば須丸にも伝わるんだって無意識にわかったんだよ。あのひとは、自分の無念を誰かにわかってほしかったんだろうな」

自分の見た光景を、瑞に。それは手を触れ合わせれば伝わると知っていた。なぜだろう。

「おまえ超能力者?霊感だけじゃなくて、人の心を読む力もあるのかもな」

そう言って笑うと、瑞は実に複雑そうな表情を見せるのだった。

「そんなこと、おいそれとできるわけないよ」
「そうだな」
「でもね、霊能力っていうのは超能力の一種みたいな説もあるから、あながち間違ってないかも。まあ手に触れただけで人の心や記憶が読めたりしたら、俺はもうこの世界でやっていけないよ」

高い空に、たき火の煙がゆっくりとのぼっていく。伊吹は、パーカーのポケットに入れてある櫛に、服の上から触れてみる。
昨夜夢の中の瑞に出会って託されたもの…。これをいま隣にいる瑞に見せたら、どういう反応を見せるだろうか。

(…不思議なことってあるんだな)

今更だけど、この後輩との不可思議な縁について改めて思う。世の中には、見えないだけで様々な事象が存在しているのだ。瑞に会うまで平凡だった人生が、不思議な出会いで一変した。