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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 後編

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「そんな汚らわしい子などいらぬ!!死んで詫びるがいい!!」

殺される。伊吹は女を無理やり立たせて手を引いた。

「殺される!逃げるんだ!さあ!」
 
女は足をもつれさせながら、なんとか立ち上がってよろめきながら歩き出す。

「逃がすものかッ!」

老女が吼えると、そばにいるたくさんの男たちが刃物を構えて突っ込んでくる。

「走るんだ!!早く!!」

このままでは殺される。女も、お腹の子どもも。

しかし伊吹の願いもむなしく、女は日本刀を構えた男に背中を切られ倒れ伏した。血が噴き出して、女は崩れ落ちた。廊下、が真っ赤に染まる。

「あ…ああ…そんな…どうして…」

女は倒れて動かない。その瞬間、炎も、老女も、周りの景色も消え失せた。暗い闇の中に、伊吹はいまにも息たえんとしている女と二人きりだった。

「…どうして……ご当主様……ひどい…こんな…」

口から血泡を吹いた女が、か細い声で繰り返す。瞳から溢れる血の涙。助けられなかった。伊吹は絶望的な気分で、彼女の最後の言葉に耳をすませる。

「…のろってやるぅ……」

呪詛の言葉とともに、女の顔がみるみるうちに歪んでいく。