村上春樹な文体を真似してヤクザ小説を書いてみた。
事務所(密売拠点のパチンコ店)からだ。今はマサシが多くの仕事を仕切っている
電話はいきなり出てはいけない。盗聴されてるかもしれないからだ。
コールの時間で要件がわかるようにしてある。
20秒を超えたから、緊急度のレベルが高い。寺井はすぐさま事務所に向かった。
「頭、大変です。キャバ嬢池内のやつが、捕まりそうです」
「状況は!?」
「警察署員と親しい筋のリークなんで、まず間違いないです。今、嬢の自宅に組員向かわせてます」
「もちろん武器は持ったせてるだろうな?」
「はい、ダイナマイトと、マシンガンを」
ダイナマイトは途上国(アフリカ)で量産されて、匿名で買い付けできるから、使っても問題ないとして、マシンガンは弾痕から身元が特定される可能性があるから、できるだけ使って欲しくない。
「いいか! マシンガンは最悪の事態の時だけ使え。」
最悪の事態とは、嬢が警察の檻に入った時
警察署の中に連れていかれた時点では遅すぎる。そうなったら職員、嬢もろとも殺すしかなくなる。
ダイナマイトで警察を ひるませてる隙に、嬢を回収して逃亡させないといけない。
失敗は あってはならない。
寺井とマサシは成否の連絡を待っていた
悪い結果であろうと、良い結果であろうと、この事務所は放棄しなければいけない。
寺井もマサシも事務所の荷造りをしていた。
マサシの携帯が鳴る。出ればその瞬間に答えがわかる。
嬢が助かったか、それとも殺されたか。
1年後
寺井と嬢とナギはVRネトゲをしていた。結論としては嬢は助かったのである。逃亡に成功し、隠れ家でしばらく潜伏した後、嬢は自由になった。嬢はヤクザが用意した船で海外に逃がされ、これまで働いた退職金で、それなりの生活が保証された。VRでの麻薬密売活動も、ほとぼりが冷めたころ新しい土地で再開された。
現在、寺井と嬢はVRで麻薬を密売しつつ、その合間にナギとゲームをする関係で、距離は離れてる3人は家族ではないけれど、VR内では傍から見れば家族に見えるかもしれない。
これは寺井が望んだ結末なのだろか、麻薬利益に関しては警察の監視が厳しくなり、収益性は9割落ちた
嬢は言葉の通じない麻薬の流通してない土地に とばされた。 嬢は麻薬から逃れたほうが身の為だったが、そこでは 、遊べる物が少なく、VRくらいしかない。 。退屈でナギや寺井をゲームに誘うようなる。
寺井は相変わらず平井組の頭をしていて、麻薬に囲まれた生活をしていて、VRと麻薬の二足の草鞋で依存をする。
マサシ
「今回は運が良かっだけなんだ。もし、同じ事がもう一度起きるなら、俺は嬢が警察にマークされる前に殺している。皆は鬼畜だと罵るだろう。ガッカリするだろうが、俺が見たいのは、そういう世界だ。だからカシラの寺井は、いつか殺そうと思う。オレの邪魔をするなら嬢だろうがナギだろうがボスだろうが殺す。俺が仕事で失ってしまった手。それに見合う報酬を得るまでは、罪を犯し続けるだろうし、平井組もカシラも俺が利用し続ける。おっと、今、ちょうど連絡があって良さそうな新たなシノギが俺の元に舞い込んで来たぞ。覚醒剤なんて目じゃないくらいの儲け話だ。これ全部俺の儲けにする。頭にも会長にも内緒でやる。その為に今まで平井組で裏の人脈作ってきたのだから。俺だけに従う犬たち、育てた恩をこのシノギで一気に返して貰おうじゃないか。アハハハ!」
その後
マサシはゲームでのプレイヤーキラーの仕事、プレイヤーの暗殺ビジネスを実行する様になる。
マサシは平井組で多くの仕事を任されている。実質ナンバーワンとして、何年も組員達を束ねる存在だった。ヤクザの性格を知り尽くしていたから、マサシは寺井や会長に内緒で平井組から精鋭を集め自分だけの兵隊を作った。
プレイヤーからレアアイテム、魔法のマントを略奪し、訴えられない様に暗殺する。そんな仕事を組員に与えて、荒稼ぎする様になる。
しかし、その、裏ビジネスの最中、組員が事故死する事件が多発した。VRゲームで装着するヘルメット型端末が暴走して脳が破壊される事故だ。
殺人ビジネスをしているから、端末にはその麻薬ビジネスの活動のログが残ってる。マサシは事故をメーカーや警察に報告する訳にもいかず……
そんなある日、組員の一人が、変わった噂話を聞いた。政府が人口削減政策をしていて、VRゲームを通して巧妙な殺人をしているのだという。
普段のマサシならSFフィクションとして聞く耳すら持たないが、組員が死んでる事情を考慮すると、その噂の出処が気になって、調べさせた。
噂の出処を辿る過程で、あるプレイヤーに指摘される。
「被害者がいるから噂を調査してるのだよね? 被害があるとしたら、警察に届けるはず。もしかして、やましいことがあるから、自分で調べてるの? たとえば魔法のマントを奪う闇ビジネスをしているとか?」
その指摘はまさしく正解で、しかし、相手も確証がないからこそ、問いかけ返しをしてるのだろうから、そのプレイヤーは何も知らない。マサシがそのプレイヤーをスルーしようとしたら、
「オレは知っているぞ」
何を知っているのか? 人口削減の噂の真実のことか、それともマサシがしている殺人ビジネスの方なのか?
問い詰めれば疑われかねない。こちらからは何も言えない。マサシはそう判断した。
マサシが何も言わないことが、余計怪しかったのか、そのプレイヤーは取引を持ち掛けてきた。
「ばらされたくなければ、武器などをよこせ」
マサシはそいつの正体が分からなかった。得体の分らない何かに全てを見透かされている様な恐怖を覚えた。
その後、寺井がマサシの殺人ビジネスについて知ってしまった。武器取り引きに応じなかったから報復にて、バラされたのか、それとも寺井のカンが鋭かったのか、いずれにせよ、
寺井は殺人ビジネスに協力的でなく、本家党首らに報告するかもしれない。平井組を私物化した件を含めれば、マサシにどんな罰があるか。マサシは寺井を殺害するべく、寺井の自宅に組員を派遣した。寺井はゲーム中であり、隙だらけだった。
〜寺井の視点「少し過去」〜
寺井は平井組に調査員を派遣して殺人ビジネスの実態を調べた。元々、マサシについて、調べていた訳ではなかった。麻薬の密売行為について、警察に情報を横流しする様な裏切り者を探す為であった。
マサシが魔法のマント略奪の大量殺人の主犯だということが分かったが、それは組全体を揺るがす問題になる筈、マサシ一人が万が一警察に捕まって解決する問題ではない。カモフラージュなビジネス、イメージアップの為にしている本家山口組が抱える健全な表の家業(引っ越しや林業)についても、世間からの風当たりが強くなる。マサシが警察に捕まれば組全体を含めて存亡の危機になる。寺井はマサシに言った。
「組を辞めて二度とこの街に表れないのなら、今回の件は黙ってやる」
作品名:村上春樹な文体を真似してヤクザ小説を書いてみた。 作家名:西中