村上春樹な文体を真似してヤクザ小説を書いてみた。
マサシがVRゲームにハマっていたという話は初めて聞いた。
「かしら! 宜しければ対戦しましょうか?」
対戦とはゲーム内でやる格闘技みたいなものだ。ゲームだから演出は派手で魔法で炎を飛ばしてみたり、テレポートで隕石を相手に頭上で落としてみたり
寺井は片付けないといけない仕事があった。アフリカの現地スタッフとの打ち合わせ魔法の作用を使って、いかに麻薬の密売交渉を円滑にすすめるか、その方法をスタッフらに教えないといけない。
ログイン中、
現地スタッフとオンラインで会話中、一通のメールが届いた。
メールの内容はゲーム内で布教活動している団体からの警告文である。不特定多数への一斉メール行為は禁止されているから、団体員とは過去に、どこかですれ違ったのかもしれない。
団体から送られてきたメールはこれが初めてではない。過去にも同じ内容を受信したことが度々あった。
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宛先 gmail@yahoo.co.jp
メール本文 件名
《ゲームプレイヤーの参加者様へ》
本文
魔法のマントを狙ってのプレイヤーキラーが現れてるので気を付けてください。魔法のマントは数に限りがあるアイテムで1000万円もの価値があります。魔法マントは初期にゲームを開始したプレイヤーに配られたもので、プレイヤーの数%しか魔法マントを所有していません。魔法マント探しにプレイヤーたちは熾烈な争いをしている。。争いの果てにプレイヤーを殺して魔法マントを奪う者も現れた。危険なプレイヤーはマントを奪うと、被害者から報復されるのを恐れて現実世界の本体を口封じに殺したりする。犯人は殺し屋を雇ったり証拠隠滅が得意で、たとえばヤクザな組織がビジネス協力してい可能性があります。心が当たりがあるプレイヤーや是非とも告発運動への協力を願います。
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噂だけであり、現実に魔法マントの盗難事件や殺害事件が起きた等話は聞いた事がない。
もし、事実であれば麻薬に変わる次のビジネスとして平井組で採用されかねない。これ以上面倒な仕事が増えても困る寺井だった。
面倒といえば、キャバクラ嬢の存在だ。これまで平井組は麻薬密売にてキャバ嬢を利用していた。キャバ嬢というのは、麻薬の売人として、うってつけの職業だ。カネに余裕のある客を相手にしているから、覚醒剤も売りやすい。
たとえばキャバ嬢がホストクラブにハマって店に借金して返済できなくなったら、その借金を肩代わりする代わり、麻薬の密売を手伝ってもらう。キャバ自身が覚醒剤を依存しているなら、客として、売人として利用できる。寺井はこれまで1人の嬢を売人として教育していた。VR世界に密売の販路を求められるかどうかの実験材料として、その嬢を利用していた。その嬢は寺井と同じで麻薬中毒者で、返済できるカネを麻薬に注ぎ込んでいた。借金返済は、まだまだ先だろう、しばらく縁は切れない。嬢と密売の打ち合わせのスケジュールを入れた。
《キャバ嬢池内の視点 回想 》
寺井とVR上での打ち合わせが終わると、池内はいつも思う
「どうしてこんなことになったのか」
警察が囮捜査してて、お客さんの中にもし警察が紛れ込んでたら、私は捕まるしかないなんて……
「君が捕まって吐いたら、組の命も終わったも同然だ。だから、捕まる前に必ず奪還する」
寺井は断言したけれど
私をどう奪還してくれるのかさっぱりわからなかったから、聞いてみたら
「24時間GPSで監視してあるから、もし警察署に君がいたら、マシンガンで助けにいく」
本当かな? むしろ、捕まりそうになったら、遠方から狙撃して私のこと口封じするんじゃないの?
どっちにしても、ヤクザの言いなりになるしかない。それに私だって麻薬やり続けたいし……
私が麻薬に手を出したのはずっと昔、高校生の頃だ。その頃からずっと依存してて、気持ちいいけど、稼いだお金が泡みたいに麻薬で消えてて、それが虚しくて、
そんな日々に、突如として、VRゲームが発売されて、凄く面白くて、つい覚醒剤の事なんて忘れてしまう日々で、貯金も貯まるようになって、職場での恋愛もうまくいってて、
でも、家に隠して忘れたままになってた覚醒剤が彼にバレて。彼は私を通報なんてしなかったけど、彼はうっかり家族に私のこと話したみたいで……
家族の方から通報されて、檻の中に入って
彼が家族に相談したくなる気持ちも
分からないでもない
逆の立場なら、私も同じことしていたかもしれないから、
問題は教師の仕事を失ってしまったこと。
教師だから、問題になるんじゃなくて
失業中の
間がある
時間が
いけなかった。
職探ししてると、失敗はつきものだし、どうしても、ネガティブになったりする
間のある時間に、私はVRの世界でストレスを発散していた。ストレスを貯めてないから大丈夫だと思ってた。
一番のストレスが彼が、私を待つと言ってた彼が、お見合いして結婚したことで
でも
それ自体は許せた。だって好きだからこそ、身を引ける愛もあると思うし
でも、頭ではわかってても、心がついていかない。
100%受け入れてたと思ってたけど1%くらい受け入れてなくて、
日々の生活のなかで、ふと虚しさがよぎって
些細な感情の揺らぎだったけと、それが毎日繰り返し起こってたら
いつの間にか、間のある時間に必ず虚しさがよぎって
起きているときも、寝ている時も、
間がありさえすれば、思考を支配してくるから、
だんだん
だんだん
少しずつ
そんな自分に
イライラしてきて
寝られなくなって、
そこから
イライラと不眠がスパイラルするように
そんなキャラしてる自分が納得できずに、余計イライラして
ストレスが、爆発的になるから、VRやっても楽しめないし、
精神安定剤、飲んでみたけど、効き目ないし
いわゆる鬱なんだとわかって
生活保護を受けるにしても、
情けなくて、家のポスト入ってるきらびやかなキャバ嬢のパンフレット見てたら、私もまだ働けるし、顔はイケてるし、前を向いて生ようって思ったの
そこからは良くある話でホストにハマっていく過程で、お気に入りの彼が覚醒剤してて、
ああ、彼も自分と一緒なんだっ
安心してしまって
泥沼にはまりました。
ただ、運が良かったのか、彼は覚醒剤で逮捕されて、結果的に、わたしの側から、彼が居なくなるのだけど、そうなってから意外に、たいして彼を必要としてない自分に気づいて
それを踏ん切りにして、麻薬の魔力からも開放されて、私的には良かったんだけど
彼の好意で私の飲みの借金をツケにつけてたから、彼が逮捕された瞬間から、店側が返済を待てないから、返してくれと。
私も彼も覚醒剤に浪費してて、堕落してたから
そんな時、ヤクザに借金を立て替えてもらって、危ない橋渡りに協力するようになって、
最初は問題なく、お客さんに宣伝できてたのだけど、お客さんが覚醒剤買って持って来るようになって、プレゼントしてくれて、断れば良かったのだけど、
作品名:村上春樹な文体を真似してヤクザ小説を書いてみた。 作家名:西中