桔葉さんのバレンタイン
シネコンのロビーで、葉月さんは立ち尽くました。
「本当に、観るんですか? これ…」
「…当然、葉月ちゃんのサイコロで 決まった映画だし。」
ポスターを藪睨みする桔葉さんに、葉月さんは顔を向けます。
「私、ホラー映画…苦手なんですけど。」
「─ 私も」
「…だったら!」
「でも…頑張って観る。」
決然と、チケットカウンターに歩き出す桔葉さん。
手を引っ張られた葉月さんは、不本意ながら後に続きました。
「─ そう言う努力は、迷惑です。。。」
作品名:桔葉さんのバレンタイン 作家名:紀之介