L K 「SOSの子守唄」
船長は、この補給基地に新しいラボの施設と、作業用の重機類、そして二体のアンドロイドを置いて行ってくれた。その内のサーバントモデル(科学者型)一体を、私のバディとして起動させた。
「私の役割の概要を述べてください」
そのアンドロイドは、無表情で話した。
「名前は何と言うの?」
「名前はありません。マニュファクチャー番号は、SS3200−560W00159Kです」
「アリゾナで製造されたのね」
その番号を聞いただけで、彼の製造工場がわかった。懐かしい私の出身地だ。
「W−159K、この星の開拓を手伝ってちょうだい。もっと人の住みやすい星にしたいの」
「解りました」
彼は笑顔で答えた。久しぶり、私が想像していた人間の笑顔だ。
W−159Kは、完璧に人間に似せて造られている。体は人間と同じタンパク質ベースの素材で、髪や髭も伸びる。私と一緒に食事をして、排泄も可能。
「あなたにも名前は無いのですか?」
W−159Kは、猫の頭をなでながら、私に聞いた。
作品名:L K 「SOSの子守唄」 作家名:亨利(ヘンリー)