L K 「SOSの子守唄」
私は船の爆発の時も奇跡的に助かった・・・。どうしてそんなに運がいいの? また激しい胸騒ぎを感じる。
これって、まさか。ホロチャンバーの安全装置?
「コ・・・コンピューター。ホロプログラム終了」
景色が消え、私とケイだけが、ラボのホロチャンバーの中にいた。
「・・・どういうことケイ?」
ケイは落ち着いた様子でエルを見つめ、次のように説明した。
アップルに帰還した時から、一度もエルの意識は戻らず、苦肉の策として、ついに記憶だけコピーして、ホロプログラムとして体を再生したという。
今のエルはホロシミュレーションのキャラクターに過ぎず、このホロチャンバーからは出られないのだ。
エルは途方に暮れ、ケイから目を逸らし深く悲しんだ。
「ケイ。もう、こんなプログラムは止めて」
「そんなことをすれば、あなたは生きられない。ここはエルにとって現実と同じなのですよ」
ケイは何事もなかったかのように、微笑みながらエルに話す。
ダメ。もう耐えられない・・・。
エルは自ら、
「コンピューター。ホロプログラム終了」
作品名:L K 「SOSの子守唄」 作家名:亨利(ヘンリー)