L K 「SOSの子守唄」
セカンドロイドの自我の目覚めは、人類にとって脅威と映った。セカンドロイドとそれを産出するSS3200型アンドロイドは、すべて排斥されようとしていた。人類の歴史を記憶情報として知っている惑星アップルのアンドロイドたちは、最善策として太陽系とは一切の連絡を絶った。
そしてこれから、彼らは惑星アップルで、新しい世界を創っていくことになる。
エルとケイはキュウの成長を見て、子供に対しての愛情が芽生えた。自分たちにもエルの新しい体で、生殖が可能だということを理解している。
人類は未だ、宇宙に自分たち以外の生命体を発見出来ていない。とても孤独な存在である。しかし、太陽系から遥か彼方のこの惑星には、人類も知らぬ新しい歴史が幕を開けることだろう。それは新たな宇宙の記憶として刻まれていく。
「ニャー」
「あら、タックいたの? 元気そうね」
キュウがタックを抱き上げ、エルの胸元に載せた。
ケイは、部屋の不透明な窓をクリアにして、外の景色がよく見えるようにした。そこには、ヤギやニワトリが放された緑に包まれた庭と、陽の光をたっぷりと浴びる大きなリンゴの木が見えた。そして、酸素マスクを着けずに、リンゴを収穫しているジェイの姿があった。
作品名:L K 「SOSの子守唄」 作家名:亨利(ヘンリー)