L K 「SOSの子守唄」
2時間後、作業を終えたジェイが船に戻ってきた。
「ご苦労様、ジェイ。これで物資を運ぶ準備は出来たわ。後は、私とアッシュでするから、あなたはもうストレージケースに戻ってもらうわね」
「起爆解体が完了するまで、俺がいた方がいいのでは?」
「ジェイ、後は簡単だからな。私がエルをサポートするから十分だ」
「そうよ、ジェイはもう十分やってくれたわ。任務完了よ」
「・・・。エルの指示であれば、それに従おう。また必要になれば起こしてくれ」
ジェイはおとなしく、格納庫のストレージケースに入ってくれた。
「ルルル、ルールールールルル。ルルル、ルールールー・・・」
「あなた、どうして歌っているの?」
「俺たちにも、子守唄が必要だからさ」
「冗談?」
ジェイは、片目をゆっくりと閉じた。
「マジさ」
アッシュは迷わず停止スイッチを押して、ジェイを機能停止にしたわ。彼は表情一つ変えず、格納庫から出て行ったけど、私は深いため息をついて暫く、ウインクしたまま動かなくなったジェイを、見ていたの。
無事やり遂げることが出来たわ。後は、惑星アップルへ帰還するだけなのに、胸騒ぎは収まらないなんて、面倒な感情。
私はタックのことを思い出した。タックを抱き上げれば、落ち着きを取り戻せると思ったから、一旦、居住区へ向かったわ。すると、先にその部屋の中にアッシュがいたの。彼は男の子の人工睡眠キャスケットを、開けているところだった。
「何をしているの?」
タックが、「シャーーー」と、怖い声を上げた。
作品名:L K 「SOSの子守唄」 作家名:亨利(ヘンリー)