L K 「SOSの子守唄」
「ジェイ、聞こえる? 私の船では、難破船のモジュールを分離するコマンドを、使用出来ないことが分かったの」
[では、どうするんだ?]
「あー。ジェイ、アッシュだ。ブラスターパック(起爆剤)を使って分割するしかない。分離箇所を爆破してくれないか」
[俺は、お前の指示には従わん。エル、指示してくれ]
「ええ。分かったわ。そちらに、パックを持って行くから」
ブラスターパックは、アッシュが船外に出て、ジェイに届けてくれた。二人の関係は最初からうまくいってなかったけど、お互いに敵同士になるなんて、有り得るのかしら。
「アッシュさんよ。ブラスターパックを取り付けるのも手伝ってくれないか」
「いや、私はエルをサポートしなければならないのだ」
「早く曳航準備が整えば、俺も船内に戻って、エルを手伝えるじゃないか」
「コムイノベーションを急いでいる。すぐに取りかかからないといけない」
「そうかい。はっはっはっは。まるで、俺に爆破されるとでも思ってるんじゃないのか?」
二人の会話が聞こえた。ジェイが笑っている。感情などないはずなのに、演技かしら。まさか、もう気付いている?
「エル、ブラスターパックを起爆して、ジェイを破壊しましょう」
「そればダメ。アンドロイドは人を殺さない。アンドロイドも殺さず、機能停止させるのよ」
作品名:L K 「SOSの子守唄」 作家名:亨利(ヘンリー)