L K 「SOSの子守唄」
「ジェイ? こちらエル。杭の取り付けの進捗は?」
[5本取り付けが済んだが、あと3本必要だ。その後ウィンチワイヤーをかけるから、8時間14分はかかるだろう]
私はアッシュに目配せをした。
「了解。その間に私とアッシュで、回収物資を積み込むわ」
「急ぎましょう」
「奴に司令部からの指示を知られないように、メッセージを削除します」
「その方がいいわね」
そして私たちは、ジェイの作業終了より早く、難破船から物資を積み込み終えたわ。
「エル。この船のコンピューターは、脳幹システムはアップグレードされて、最新のものと互換性がありますが、ハード面は古い規格ばかりですので、難破船の最新のハードを使用すると誤作動するかもしれません」
試しに、難破船から持ち帰ったスレイブコントローラーを使って、ジェイに停止コマンドの送信を試みたけど、残念ながらうまくいかない。
「早急にコンピューターのイノベーションが必要です」
「今、コムイノベーションしている暇はないわ」
私はジェイの機能を、遠隔で停止することをあきらめるしかなかった。もう直接、手動停止するしかないのよ。
作品名:L K 「SOSの子守唄」 作家名:亨利(ヘンリー)