L K 「SOSの子守唄」
第八話 反乱者
「事故は、亜空間断層の影響じゃなかったのね。どおりで予想したポイントより、離れすぎていると思ったわ」
「もしかすると、太陽系で事故があり、間違って起爆されたのかもしれません」
「そうじゃないわ、アッシュ。2年半前に、太陽系から救出不要という指示が来ていたの」
「太陽系からの通信を受信するのに、200日はかかる距離です。事故が起こる前から指示しているということは、司令部の陰謀でしょうか」
「もはや事故ですらない。アッシュ、どうしてあの探査船を爆破する必要があったのかしら」
「分かりません。しかし、これが司令部からの指示なのであれば、ジェイには教えないでください」
「どうして? 彼の協力は必要だわ」
「奴は、ミリタリーモデルです。指揮官の指示に従うようにプログラムされています」
「彼を起動した私が、指揮官よ」
「いいえ、事態が変わったことを知れば、あなたより上部からの指示を優先するようになるはずです」
「そんな、まさか。敵になるの?」
・・・『ヘヘッ、敵なら手加減はしない』
私は状況を理解した。機能停止させるのは、ジェイ一人でいい。
「ジェイはまだ船外にいます。中に入れてはいけません」
「どうすれば、ジェイを機能停止出来る?」
「停止コマンドを送信すれば、簡単です。しかし、この船のコンピューターでは、互換性がありません」
作品名:L K 「SOSの子守唄」 作家名:亨利(ヘンリー)