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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 「SOSの子守唄」

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ケイは拳を握り締めている。
「落ち着いて、ケイ」
「私は落ち着いています」
「焦っているように見えるわ」
「焦りなど感じる機能はありません」
「でも、そう見えるの」
「では、落ち着いて考えましょう」
「タックを抱いてあげて。そうすれば落ち着けるから」
 ケイはタックを抱き上げて、作業机に腰掛けた。
「猫には、お守りのような機能があるのですね」
「お守りですって? 昔の十字架のようなこと?」
「はい。抱いているだけで、状況は変わらないのに、安心出来る」
「その感情を大切にしてね。ケイ」
「これが感情なのか」

 二人で対策について、話し合った。5日間議論したけど、結論は出なかった。
 やはり、危険を冒すしかないのだろうか。ホロチャンバーは、万能なのかと過信していたわ。何でもこれでシミュレーションすれば、うまくいくと思っていた。
 私はふと、ホロプログラムで気分転換をしようと思い立った。
「ケイ。ホロチャンバーで、遊びましょう」
「エル。いい考えですが、それは無理です。このチャンバーは実験用ですから、娯楽プログラムはインストールされていません」
「でも、地球を再現出来るわよね。現在の地球に行ってみたいわ。太陽の下で、タックを遊ばせてやりたい」
「プログラムは30年前の地球ですが、再現するだけなら出来ます。地球丸ごとは無理なので、行動範囲は限られますが」