L K 「SOSの子守唄」
新型探査船が出発して3ヶ月、太陽系からのメッセージは何も届いていない。
(私はもう不要になったのかな・・・)
ここで開拓を続けていることを報告しているけれど、訪れる者なんかいるはずが無い。もしこの前の探査船が、知的生命体を発見してくれたら、ここは定期航路になるかもしれないけれど、それは何十年も先の話だわ。もし発見出来ればの話だけど。
私みたいに、生命探査に出た船はいくつもあるのに、未だ一つの命さえ発見出来ていないらしい。人類は宇宙で孤独な存在なのかもしれない。
でも、私にはケイがいてくれる。バディとして以上の信頼を感じているわ。
「コンピューター。ホロプログラム停止」
ケイがシミュレーションを中断して、ホロチャンバーを出てきた。
「どうしたの?」
「インフィニチウムの掘削作業は、規模が大きすぎて、このチャンバーでは、正確に再現し切れません」
「掘削は私たち二人でも、計算上可能なはずよ」
「二人で手分けする場合、移動範囲が広すぎるのです。計算上可能でも、映像で投影出来る規模を超えては、観察出来ませんでした」
「目で見てみないと、気付かないことがあるかも知れないってことね」
「この場合、成功する確率は、12%ダウンします。エルにそのような危険を冒してほしくない」
「貴重なエタニチウムを使って、僅かな失敗もしたくないわ」
「もっと大きなホロチャンバーが必要です」
「そんな施設が作れるかしら」
「ここの設備と資材では、まだ到底不可能です」
作品名:L K 「SOSの子守唄」 作家名:亨利(ヘンリー)