L K 「SOSの子守唄」
「私たちにも名前が必要だと思います」
「名前なんてどうやって付ければいいの?」
「難しい質問ですが、簡単とも言えます。私があなたに名前を付けましょう」
「名付けるのが得意なの?」
「そうではありませんが、人間も自分の名前は、人に決めてもらうものですから」
「そういうものなの。じゃ、任せるわ」
「エル」
「え?」
「マニュファクチャー番号の最後の一文字から取りました」
「『L(エル)』。素敵。とても嬉しいわ。じゃ、あなたは『K(ケイ)』よ」
「嬉しいと言いましたか?」
「ええ。私の名前。気に入ったわ」
「あなたには、感情があるのですか?」
「ええ。いろいろ感じることが出来るの」
「すばらしい。プロトタイプには機能制限がないのですね」
「あなたの名前は気に入ったかしら?」
「はい。理解しました」
「理解じゃなく。感じてほしいの」
「それは不可能です」
「いいえ。あなたもきっと、感じることが出来るはず」
作品名:L K 「SOSの子守唄」 作家名:亨利(ヘンリー)