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ヒトサシユビの森 5.ヒトサシユビ

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2つの南京錠を外し、蛭間は小屋に据えられたロッカーの扉を開けた。
ランタンの灯りがロッカーの中にいるいぶきを照らした。
ぐったりとロッカーの底に横たわるいぶきが、薄く眼を開いた。
ここ数日間食事を与えられていないいぶきは、やつれて生気がなかった。
いぶきの右手は手首から手の先までグルグルに包帯で巻かれていた。
包帯は小さな握り飯ひとつ分くらいの大きさがあった。
蛭間はロッカーの扉を蹴って、いぶきに注意を促した。
「おじさんとドライブに行こうか」
そう言って蛭間は用意した麻袋に入るよう、いぶきに命じた。
躊躇するいぶきだったが、蛭間に小突かれ、いぶきは嫌々ながら、麻袋に両足を入れた。
蛭間は麻袋の中にいぶきの頭を押しこんだ。
麻袋の口紐を締めると蛭間は麻袋を肩に担いだ。
いぶきは袋の中でささやかな抵抗を試みたが、蛭間の腕力に抗しきれなかった。
事前に取りだしておいた猟銃を手に持ち、蛭間はいぶきを担いだまま小屋を出た。