ありふれた恋の物語
二人が時間を共有するようになって2週間。俺が入院してから1ヶ月のことだった。
いつものように屋上のベンチに並んで座り、いつものように話をしていた時、「ねぇ。君は余命何ヶ月なの?」と彼女は聞いてきた。
そういえば、互いにどこの部位が病に侵されているのか話したが、余命については話して無かったなと思った。
「俺は、入院する時に余命が5ヶ月しかないと言われたから、今はもう4ヶ月かな」
「え!?移植の期限まであと1ヶ月しかないじゃん!」
「そうだな。でも、多分無理だと俺は思っているよ。ドナーって見つからないらしいじゃん」
「諦めたらだめだよ」
俺の言葉を聞き、彼女はいつもの明るさに陰りを見せた。
どうやら諦め気味の俺の態度が気に食わなかったらしい。
自分の言葉を訂正して謝る俺に対し、彼女は「怖くないの?」と聞いた。