ありふれた恋の物語
「何が?」
「死ぬことが」
「んー。まだ実感がわかないからなぁ。あと4ヶ月で死ぬなんて。根拠もないし。まだ怖くないな」
俺が怖くないというと、彼女は大きな目を更に見開き、驚いたような表情を見せた。
お返しに次は俺が質問をする。
「君はあとどれくらいなの?」
「あ!気になる?気になるよね!」といい、少しもったいぶったあと、彼女は残された告げた。
「僕はね、あと3ヶ月半くらいかなぁ」
俺よりも半月短かった。
「君こそあと2週間しか期限がないじゃん」
「大丈夫!もう手術の日程は決まっているんだ!」
俺が彼女の心配をすると、彼女は陽気に笑って右手を突き出し、親指を立てて“大丈夫“と言った。心配する必要はないとも言った。