ありふれた恋の物語
そんな彼女は入院生活を送る中での俺の同志だった。
つまり、同じ病気を患った患者だということだ。
彼女は体の中でも胃と肝臓、さらには肺が片方機能しておらず、次は心臓にその前兆があるらしい。
俺と彼女が侵されている病はその影響を受ける器官は違えど、同じ病なのだそうだ。
俺と彼女は知り合ってからの毎日、検査の後に屋上で落ち合って話をするのが日課となった。
将来の話や好きな食べ物、入院する前の生活や趣味、色々な話をした。
病気を患っているにもかかわらず、自分よりも元気に気丈に振る舞う彼女はとても眩しかった。
彼女との話で一番多かった話題は将来の話だ。
彼女は将来、中学教師か小説家になりたいそうだ。
元気の塊みたいな彼女には似合わないと思った。
俺が「似合わない」と言うと、彼女は少しだけ怒った。