ありふれた恋の物語
そこまで読み進めると彼女の言っていることが徐々に理解できてきた。
手紙に書かれた“(笑)”という文字に自然と目がいく。
彼女はどういう気持ちでこんなことを書いているのか。
彼女はどんな気持ちでこの手紙を書いたのか、僕には分からない。
『僕は決心しました。のこり2週間の人生はもういらない。僕が2週間を捨てるだけで何十年もの時間を手にできる人がいるのなら、僕はそれでいい。だから、僕は自分の臓器をあげることにしました。』
もうここまで来ると彼女が言っていることなんて明白だった。
俺はお腹のあたりを手でさする。腎臓はこの辺りにあるのだろうか。
手紙の本文は『僕の腎臓。もらってくれるよね?異論は認めないよ』という言葉で締められていた。