ありふれた恋の物語
俺はいつも通り自動販売機で何時のものかも分からないコーヒーを買い、ベンチに腰を下ろした。
ひと口だけコーヒーを飲み、封筒を丁寧に開ける。
無地の便箋には、3枚にかけて長々と要点を得ていない内容が書かれていた。
手紙の冒頭は『拝啓 坪田洋一様』と、なぜ俺の本名が書かれていた。
俺はそんな些細なことは気にせずに読み進めた。
『僕はまず謝らなければいけません。余命を言い合った時がありましたよね。あの時に僕がいった余命は嘘です。あの時すでに僕の余命は残り2週間でした。機能している臓器よりも機能していない臓器の方が多い僕は、あの時すでに腸も役割を果たさなくなっていました。心臓も度々不調を訴え、何度も鼓動が止まったりもしました。』