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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 前編

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たっぷり五分かけ、足音は再び近づいてきた。志帆が言っていた。この屋敷は、内側が部屋と部屋でつながり、外側をぐるりと廊下が囲んでいるのだ。同じ方向に歩き続ければ、ぐるぐると屋敷内を周回することになる。

「次ここの部屋の前通りかかったら、開けてみる?襖」
「…やめた方がいい」

颯馬の提案は、瑞にはとてつもなく危険なもののように感じられた。伊吹は相変わらず、苦しそうな呼吸を繰り返しているし、電気も復旧しない。どうすればいいのだろう。このまま、朝を迎えるのを待つ?しかし尋常でなき伊吹の様子を見ていると、このまま待つのも危険な気がするのだ。

「おい、なんとかならんのか颯馬」
「えー、俺は陰陽師じゃないもん」
「神社のおうちの子だろ」

ギィー、ギィー…。再び足音が瑞らの部屋の前を通過していく。声を殺して奇禍が去るのをじっと待っていた二人だったが…。

「…!」

足音がやんだ。止まったのだ、この部屋の前で。

(なんだ…!)

漆黒の襖の向こうから、錐で突き刺すような強烈な視線を感じた。睨みつけられている!

はいってくる…?

警告じみた感情が、弾かれたようにせりあがってくる。

「なんかやばい。隠れよう」
「はーい」