そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 前編
「え?」
「だるいって言うか…」
「横になる?」
そうする、と小さな声が返ってくる。颯馬が潤子を呼びに行き、布団を敷いてもらう。横になるとすぐに目を閉じ、伊吹は眠ってしまった。
「どうしたのかな…」
「気が張ってるのかもねー。幽霊屋敷の調査だもん」
「寝かせとこう」
「じゃー俺らだけで話聞きにいこっか」
瑞は、颯馬と二人調査のため部屋をあとにする。襖を閉じようとしたとき。
「――見られてる…」
伊吹が、そう言った。いや、そう聞こえた。寝言…?
「瑞くーん?どうしたの?」
「いや…行こう」
静かに襖を閉じる。夢の中の、自身からの警告が頭をちらついた。
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作品名:そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 前編 作家名:ひなた眞白