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霊感少女  第一章

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と呟いた相楽が 部屋のドアを開けた

部屋の電気を点けると 窓の手形が ハッキリと浮きあがる
「…な?…な?」
完璧にビビってる僕が 必死で 手形を指差すと
「うるさい」
と 怒られた

鞄の中から 白い半紙を取り出し 酒を湿らせ またブツブツと唱えながら 窓の手形を擦り落とした

そのまま半紙を刻み 灰皿の中で燃やし 灰を丁寧に新しい半紙で包みながら
「真剣に聞いて」
「…お おう」
「返事は ハイ」
「…ハイ」

(返事も関係あるのか?)

上目で睨む相楽に
「すいません」
と 心から謝っていた


相楽は 父親から借りて来た長い念珠を 僕に渡し
「しっかり握っててよ」
「はい」
「で これ唱えて」
「何 これ」
「お題目」

【南無妙法蓮華経】と書かれた紙をテーブルに置いた

「心の中で唱えて」
「…はい」
「繰り返し唱えてよ」
「……はい」

経本を 取り出し準備している相楽の前で お題目の紙を見ながら
「…なぁ」
「ん?」
「今 何処に居る?」
「雅人の後ろ」
と 言ったと同時に 返事をする様に 後ろの棚に置いてあるオーディオが ブツンと短い音を鳴らした

背筋が凍る

「ふざけないでよね」
と睨み僕の横に座る相楽。慌ててテーブルを一周して 相楽の後ろに隠れて座った

(最低だな…俺)

静かに お経を唱える相楽の後ろで ビクビクしながら お題目を唱えまくった

経本を読み終わると 小声で
「しっかり唱えてて」
と告げた相楽が 立ち上がり 今度は 呪文を唱え始めた

さらに必死で お題目を唱えまくると 細身の相楽から予想外な声で
「ぅぅぅえい!」
と叫ぶと 振り払った念珠の珠が 固い鉄の様に放射線状にピンと広がった

正座していた床が まるで引き潮に引き寄せられる感触がして 思わず相楽の服を握っていた

しばらくして
「離して」
と 相楽が言った

怖くて 目をつぶり 無我夢中で相楽の服を握っていたからだ

「出てったよ」
「……はい」
「大丈夫」
「……はい」
「離してよ!」
と 後ろ向きで胸を蹴られると
調度 姉が帰宅したのか 玄関が閉まる音がして
「流石 お姉さん」
と 相楽が笑った



いつも通り 目の前で煙草を吸っている相楽に恐る恐る聞く
「どんな女だった?」
「ん~ 結構 巨乳」
「!!」

思わず
「惜しい…」
と 漏らしてしまった
「本当 最低!」

(ヤバイ ヤバイ)

「馬鹿馬鹿しい」
と鞄で 真横から顔面を殴り相楽は帰ってしまった

数時間後
台所に行くと テーブルの上に新しい小瓶の酒が置いてあり 姉に聞くと 仏壇の酒を替える為に買ってきたらしい

「…へぇ」
部屋に逃げ帰ると 数分後 には 鬼が部屋に来た

「お酒飲んだでしょ!」
と怒鳴る姉に 力強く頭を殴られた



勿論 残っていた酒を飲み干していた事は 言うまでもないだろう


作品名:霊感少女  第一章 作家名:田村屋本舗