赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 21話から25話
赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (23)
街場の芸者
会津若松市に東山温泉とは別に、街場の芸者衆が居た。
しかし。時代とともに、数がめっきり減って来た。
いま芸者として待機しているのは、実質的に、たった1人きりという状態。
それが春奴お母さんのかつての戦友、市奴その人。
街場の中にも、置屋があった。
粋なお姉さんたちが着飾って待機している。
声が掛かるたび、市内の料亭やお座敷へ、艶やかな姿で足を運ぶ。
街の中に普通に待機している芸者衆のことを、街場の芸者という。
こうした芸者衆の姿は、会津が誇る貴重な文化財と言っても過言ではない。
街場の芸者も減っているが、温泉地の芸者も例外ではない。
昭和30年代のなかば。只見川における電源の開発事業が盛んだった頃、
東山温泉に、200名を超える芸者衆が居た。
夜毎大いに盛り上がり、まるで小原庄助さんのような男たちが、
どんちゃん騒ぎを繰り返していた。
そんな芸者衆も徐々に姿を消し、今ではもう20名あまりしか残っていない。
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 21話から25話 作家名:落合順平