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赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 21話から25話

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 おいらは絶対の騙されないぜと、清子の懐でたまがせせら笑いを見せる。
そんなたまの頭へ、コツンとひとつ清子がげんこつを見舞う。

 『痛てえなぁ。何すんだよ、清子。
 あれ?・・・・お前。俺の言っていることがわかんのかよ?』

 『うふふ。お前が考えていることくらい、だいたい察しはつきます。
 お前も呑気だねぇ。
 周りを見て、おまえが置かれている状況をよく確認してご覧。
 春奴お母さんと豆奴姉さん。あたしとミイシャ。
 ほら。見渡すかぎり全員が女です。
 余計なことを口にすると、全員を敵に回してしまいます。
 黙ってらっしゃいな、余計なことは言わないで。
 お口はチャック。手はお膝』

 お行儀よくしてくださいね・・・・と、清子がたまに笑いかける。


 『なんだよ清子。つれねぇ事を言うなよ。
 お前くらいは、孤独な俺の味方をしろってんだ。
 そんなことを言うと、もう、懐へ入って遊んでなんかやらないぞ』


 『いいわよ。もう、懐へ潜り込んで来なくても。
 だいいちお前ったら、すっかり大きくなってきたから、重いのよ。
 お前の重さのせいで、大事なあたしの胸が潰れてしまったら、
 お嫁に行けなくなるじゃないの』


 『嫁に行くのか。清子は』


 『もらってくれるのなら、いつでも行くわよ,お嫁に』


 『もらわれて行くのか、嫁ってのは。
 自分の意思では決められねぇんじゃ。人間てのも、見かけ以上に不便だな。
 好きなら好きで、本能のまま行動すればいいだろう。
 それが自然というものだ。
 やりたいから女のところへやりに行く。それだけが真実だ』


 『あんたって子は、本能を剥き出しにし過ぎ。
 しつこく迫りすぎるから、ミイシャに、いつも嫌われるのよ。
 女の子は繊細で、壊れやすい生き物なの。
 もうすこし女性の心理を勉強しておかないと、最後にきっと、嫌われます』


 『へん。大きなお世話だ。
 下手な鉄砲だって、数を打つから、たまには当たるんだ。
 今に見ていろ。ミイシャのハートも身体も全部、俺のものにしてやるから』

 『お前は考え方が、いたってシンプルで、ホントに気楽だわねぇ』


 『おう。シンプル・イズ・ベスト。これこそがおいらの生き方だ。
 男の道は、惚れた女にひたすら、脇目もふらずにまっしぐら。
 止めるんじゃねえぞ、清子。
 ミイシャ一筋においらは、熱い情熱をそそぐ!』


 『誰も止めやしません。
 やんちゃな子猫の恋なんかに、誰が興味があるもんですか。ふんっ』


 たまの恋よりも、もっと肝心なことが有ります。
小春姐さんと、喜多方の小原庄助さんのその後がどうなったかです、と、
清子がたまの頭を撫でながら小さな声でそっと、つぶやく。


(22)へ、つづく